1.加工食品の表示について
近頃の食品回収の情報で加工食品の表示についての事案が目立つようになってきました。食品表示法の猶予期間も1年を切りました。今回は改正のポイントについてもう一度、おさらいをしてみたいと思います。
新しい食品表示制度の主な変更点
○アレルギー表示に係るルールの改善
- 特定加工食品及びその拡大表記を廃止
(例:パン⇒小麦、マヨネーズ⇒卵、ヨーグルト⇒乳、など) - 個別表示を原則とし、例外的に一括表示を可能
- 一括表示をする場合、一括表示欄全てに表示
○栄養成分表示の義務化
- 原則として、全ての消費者向けの加工食品及び添加物への栄養成分表示を義務付け。
食品表示法 経過措置期間
・一般用加工食品 ・一般用添加物
・業務用加工食品 ・業務用添加物
2020年3月31日までに新基準に基づく表示への移行が必要
○原料原産地表示について
- 国内で製造された全ての加工食品について、
重量割合1位の原材料の原産地を義務表示の対象とする。 - 個別4品目に「おにぎりののり」を追加 > 5品目に
※いわゆる「おにぎり」が対象で「おにぎらず」も対象になる。
少しでもおかずと混じれば「弁当」とみなし対象外。
「巻寿司」もおにぎりではないから対象外となる。
2.トピックス
①ゲノム編集食品について
遺伝子を効率よく改変できる「ゲノム編集」という技術を使った食品が、早ければ今夏にも流通する可能性がでてきた。厚生労働省が、ゲノム編集で開発した一部の食品は従来の品種改良と同じであるとして、厚生労働省の安全性審査を受けなくても届け出だけすれば流通を認める方針を固めた。ゲノム編集を使った品種改良は主に遺伝子を切断して働きを止める方法によって作物自体の遺伝子を改変するので安全性が高いとされる。遺伝子によって味や栄養を自在に変えることもでき、消費者にメリットの大きい品種が短期間で簡単に開発できるとのことである。厚生労働省と消費者庁は消費者が適切に選択できるように表示の義務化を検討している。
②乳児用液体ミルクについて…消費者庁
平成31年3月5日付けで、乳児用液体ミルク2品について、特別用途食品の表示が許可されました。消費者庁ウェブサイトに乳幼児用液体ミルクの表示等について解説したリーフレット「乳児用液体ミルクってなに?」が掲載されています。利用の際は、リーフレットを活用し、製品の表示をしっかり確認することが必要です。
3.食中毒情報について・・・消費者庁
近年、魚などの内臓に寄生する寄生虫、アニサキスによる食中毒の報告件数が増加している。厚生労働省が、3月13日に公表した食中毒集計によると、2018年のアニサキスによる食中毒は468件(患者数478人)で、食中毒の原因(事件数)として、ノロウイルスやカンピロバクターを上回りアニサキスが初めて1位となりました。
- 3月7日 (2月25日~3月3日)
ノロウイルス;6件、カンピロバクター;3件、アニサキス;2件
発生件数;11件 - 3月14日 (3月4日~3月10日)
アニサキス;1件、カンピロバクター;3件、ノロウイルス;13件、調査中;1件
腸管出血性大腸菌O157;3件
発生件数;21件 - 3月22日 (3月11日~3月17日)
ノロウイルス;2件、カンピロバクター;1件、腸管出血性大腸菌O157;1件
発生件数;4件
4.食品の回収情報、事故情報・・・厚生労働省、消費者庁
- 厚生労働省が公表した事故情報
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kaisyu/index.html
鶏卵M10個入りパック(スルファモノメトキシン検出) - 消費者庁が公表した事故情報
http://www.recall.go.jp/result/- パブロヌード(消費期限誤表示)、ナチュラルエナジーバー(カビ)
- アルフォートミニチョコレート(金属異物混入の可能性あり)、チャバタラスク(アレルゲン・乳)
- セブンカフェごろごろマカダミアナッツのキャラメルクッキー(金属異物混入の可能性あり)
- マッカイ ピンクグレープフルーツママレード(カビ)、ミニシュー(金属片混入)
- ちりめん山椒(賞味期限誤表示)、五島塩ローストビーフ(消費期限誤表示)
- 肉汁の旨味広がるジューシーフランクドッグ(金属片混入)、ジャンボ肉焼売(アレルゲン・カニ)
- パン(カビ)、チーズ豚パン(消費期限誤表示)、青い森の天然淡雪りんご花びらジャム(カビ)
- 博多の野菜たち 春菊(ルフェヌロン基準超過)、めばちまぐろ赤身刺身(期限表示誤表示)
- 桜さくさくクッキー(アレルゲン・小麦)、プチブッセ(金属片混入の可能性あり)
- マヌカハニー(カビ)、プチチョコチップ抹茶(金属片混入の可能性あり)
- ゼロ シュガーフリーケーキ(金属片混入の可能性あり)、西郷どんラーメン(カビ)
- ルヴァンプライムミニサンドチェダーチーズ味(金属異物混入の可能性あり)
- プライムワン三陸産めかぶ(賞味期限誤表示)、プチ黒ココア(金属異物混入の可能性あり)
《JIFEからのお知らせ》 <カンピロバクターについて> (検査部)
牛レバーや豚肉の生食が禁止され、腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌の食中毒は減少していますが、カンピロバクターによる食中毒、特に飲食店での鶏の生食や加熱不足が原因の事例は、依然として多数報告されています。
カンピロバクターは動物の腸管内にいる菌で、特に鶏の保菌率は高く50%以上となっています。「新鮮だから生で食べられる」はカンピロバクター対策としては通用しません。新鮮な鶏肉のなかには活発なカンピロバクターが生存している可能性もあります。熱に弱い菌なのでしっかり加熱することで死滅させることができます。またカンピロバクターは100個程度の少量でも食中毒を発症するため、ドリップ、手指、器具を介しての二次汚染にも気を付けましょう。
成分分析検査のご依頼は当社へ!
食品の表示に関して、これまでの3つに分かれていた食品衛生法、JAS法、健康増進法が食品表示法に一元化され、消費者、事業者双方にとってわかりやすい表示が実現されることとなります。食品表示法の施行に伴い、これまで任意であった栄養成分表示が義務化されることとなりました。義務化項目はエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5項目が義務項目となります。実施される際は当社へお問い合わせください。
https://jife.co.jp/inspection/food/nutrition
編集後記;梅や木蓮がきれいに咲いていました。 (木内)
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