1.アニサキス症(概要)…anisakidae_170221pdfリンク

1)アニサキス症とは
アニサキス症は、アニサキスが胃壁や腸壁に刺入して引き起こす寄生虫症です。アニサキスは、アニサキス亜科幼虫(Anisakidae)の総称で、イルカ、クジラ、アザラシなどの海洋に生息する哺乳類を終宿主とし、これらの胃に寄生する線虫です。主にAnisakis simplex、Pseudoteranova decipiens、A. physeterisという種がアニサキス症の原因となります。この中で、Anisakis simplexはA. simplex sensu stricto、A. pegreffii、A. simplex Cの3種に分類されます。
このうち、A. simplex sensu strictoとA. pegreffiiは人体寄生性であることが確認されています。虫体の多くは、長さが2~3cm、幅は0.5~1mmぐらいで、白色で少し太い糸のように見えます。アニサキス症は、それらが寄生した部位によって、胃アニサキス症、腸アニサキス症、腸管外アニサキス症に分けられ、ほとんどは胃アニサキス症です。アニキサス症の原因となる寄生虫の種を特定できたのは1963年ですが、この疾病はそれ以前からあったと考えられています。日本では、70年代以降になって内視鏡検査の普及とともに虫体の摘出が可能となり、発生している実態が把握できるようになってきました。アニサキスは、海水中で卵が孵化し、オキアミ(第1中間宿主)に食べられて第3期幼虫となります。

これを海産魚やイカ(第2中間宿主)が食べると第3期幼虫のままですが、海産哺乳類(終宿主)が食べると、
体内で成虫となります。ヒトは、海産魚やイカを食べてアニサキス症を発症しますが、ヒトの体内はアニキサスに
とっては好適ではないことから、ほとんどは第3期幼虫のまま(一部は一度脱皮した第4期幼虫)にとどまります。国内のアニサキス症の原因食品は、北海道を除き、さば類が最も多く、これ以外では西日本や関東では、いわし類、かつお類等、東北から北海道では、さけ類、いか類、サンマなどが報告されています。
太平洋側を産地とするマサバにはA. simplex sensu strictoが多く、東シナ海・日本海産のマサバにはA. pegreffiiが多いことが知られています。A. simplex sensu stricto はA.pegreffii に比べて、内臓から筋肉への移行率が高く、保存温度が上がることで、より筋肉部に移行しやすいことがわかっています。

2)ヒトに対する影響
アニサキス症は世界中でみられ、魚介類を生で食べることで感染します。季節的には12~3月の寒期に多くなっています。魚介類の生食後、1時間から2週間で発症し、感染から約3週間以内で自然に消化管内から消失します。通常幼虫1匹で発症します。急性胃アニキサス症は、アニサキスが寄生した魚介類を生で食べて数時間後から十数時間後にみぞおち(心窩部、しんかぶ)の激しい痛み、悪心、嘔吐を生じます。急性腸アニサキス症は、十数時間後から激しい下腹部痛、腹膜炎症状などを示します。これらの急性の症状は、アニサキスが、胃壁、腸壁に刺入することで生じます。また、アニサキスの再感染によるアレルギー反応が関係している場合もあると考えられています。緩和型(慢性)アニサキス症は、自覚症状を欠く場合が多く、胃壁や腸壁に肉芽腫(にくがしゅ)が発見されて、摘出された肉芽腫内部に虫体の断片が見つかることで診断を確定する例が多くなっています。死亡例は報告されていませんが、全身性のショックを引き起こすこともあり、注意が必要です。治療は、虫体を摘出することが最も効果的で、急性の症状にはアレルギー症状の緩和措置も重要という報告があります。アニサキスを原因とする食物アレルギーは日本やスペインで報告されています。

3)予防方法
アニサキスは60℃で1分、70℃以上では瞬時に死滅します。冷凍処理によりアニサキス幼虫は感染性を失うので、魚を-20℃以下で24時間以上冷凍することは有効です。酸には抵抗性があり、シメサバのように一般的な料理で使う程度の食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても死ぬことはありません。加熱調理するか、十分に冷凍してから調理することが効果的です。アニサキスは、寄生している魚介類が死亡すると、とどまっていた腹腔内(内臓)から筋肉部位に移動することが知られています。よって漁獲後は速やかに内臓を除去することが有効です。また調理の際にはアニサキスを目視で確認することも有効です。

2.トピックス
農産物輸出の促進法が成立しました

http://www.maff.go.jp/j/law/bill/200/index.html (農林水産省)
 農産物輸出拡大の司令塔組織の新設を柱とする農林水産物・食品輸出促進法が11月20日の参院本会議で可決、成立しました。
成立の背景としては、これまでに農林水産物及び食品の輸出拡大に向け、日本食のプロモーション等の取組を実施していたこと。そして、更なる輸出拡大のためには、輸出先国による食品安全等の規制等に対応 するため、輸出先国との協議、輸出を円滑化するための加工施設の認定、輸出のための取組を行う事業者の支援について、政府が一体となって取り組むための体制整備が必要となったためです。

3. 食品中毒情報について・・・消費者庁 http://www.caa.go.jp/

■10月18日 (10月7日~10月13日)
カンピロバクター;9件、サルモネラ属菌:2件、腸管出血性大腸菌O157;1件
アニサキス;1件、フグ毒(テトロドトキシン);1件、調査中;1件                 発生件数;15件
■10月25日 (10月14日~10月20日)
カンピロバクター;5件、サルモネラ属菌;1件、アニサキス;1件
調査中;1件、不明;1件                                          発生件数;9件
■10月31日 (10月21日~10月27日)
カンピロバクター;6件、黄色ブドウ球菌;1件、腸管出血性大腸菌O157;1件
セレウス菌;1件、毒素原性大腸菌O159;1件、アニサキス;1件                発生件数;11件
■11月8日(10月28日~11月3日)
カンピロバクター;5件、アニサキス;4件、ノロウイルス;2件、黄色ブドウ球菌;1件
ウェルシュ菌;1件                                              発生件数;13件
■11月14日(11月4日~11月10日)
アニサキス;3件、カンピロバクター;2件、黄色ブドウ球菌;2件
腸管出血性大腸菌O157;1件、植物性自然毒(カキシメジ(推定));1件、調査中;1件    発生件数;10件

4.食品の回収情報、事故情報・・・厚生労働省、消費者庁

■消費者庁が公表した事故情報 http://www.recall.go.jp/result/
 ・原木椎茸の粉末(放射性セシウムの検出)、かりんとう(アレルゲン表示欠落・卵)、ビール(異物混入)
 ・まんじゅう(賞味期限の誤表示) フィナンシェ(カビの発生)、チーズ(アレルゲン表示欠落・小麦、大豆)
 ・ロールキャベツ(アレルゲン表示欠落・乳)、スパイス塩(アレルゲン物質の検出・卵)

《JIFEからのお知らせ》 ノロウイルス食中毒予防強化期間(令和元年11月1日~令和2年1月31日)
(検査部)
ノロウイルスの感染経路はほとんどが経口感染です。
 (1)患者のノロウイルスが大量に含まれるふん便や吐ぶつから人の手などを介して二次感染した場合
 (2)ヒト同士の接触する機会が多いところでヒトからヒトへ飛沫感染等直接感染する場合
 (3)食品取扱者が感染しており、その者を介して汚染した食品を食べた場合
 (4)汚染されていた二枚貝を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合
 (5)ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合
特に、食中毒では(3)のように食品取扱者を介してウイルスに汚染された食品を原因とする事例が近年増加傾向にあります。また、食品や水を介したウイルス性食中毒の原因になるばかりでなく、(1)、(2)のようにウイルス性急性胃腸炎(感染症)の原因にもなります。食中毒を起こさない為に、定期的にノロウイルス検便検査を実施するようにしましょう。

編集後記;令和元年も残りわずかになりました。健康に注意してよい年を迎えたいと思います!!(片白・東)

 

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JIFEニュース第113号